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2001.1.8

 

 

 

そごう問題の分析(00.8.6)

 

そごうが債務超過になり、それを救済するために様々な動きがありました。なぜ銀行や、あるいは実際にはやめましたが民間企業である「そごう」に、国のお金(税金)を投入するのか、を考えてみます。


その根底にある行動原理は「動学的に考えて、マイナスの被害を最小に食い止める」ことであり、これが政府の政策目標になっているからです。基本的に経営がうまくいかなくて、赤字になったり債務超過になった場合、その企業は倒産してつぶれなくてはいけません。しかし、大企業になると、つぶすことでその会社がつぶれるだけでなく、負の波及効果も生じます。

今回のそごうを例にとって考えれば、倒産による波及効果は、

雇用されていた従業員が失業者となり、社会不安が増大
取引して仕入れていた中間業者が在庫を抱え、つぶれる
流通チャネルを提供していた運送業者の仕事がなくなり、つぶれる
そごうに多額の融資をしていた銀行・ノンバンクがその焦げ付きで財務状況が悪化し、システミックリスクを引き起こす
  →ジャパンプレミアム発生や株安?

などです。これらはシリアスな問題で、最終的にはマクロ経済全体にも多少のショックがあるとも言われました。そうすると、ひいては我々の生活にも影響する可能性もあります。

なので「そごうを潰して、切り売りして、はいお終い」では、問題があり、政府としても何らかの再建策を講じる必要があったわけです。もう少し説明すると、完全に潰す事で将来日本経済全体で10の損失が生じる場合と、今政府資金5を投入することで、現在なんとか持ちこたえ、将来損失は0の場合だと、トータルでは前者は10の損失、後者は5の損失ですみます。こうしたことが公的資金注入の根拠だったわけですが、そこで、今回はおおまかに言って、3種類の対策が考えられました。

つぶす事の悪影響が大きいので、公的資金を注入して、再建する。
貸し手責任という事で、融資していた銀行が借金を棒引きする形でそごうの債務を減らし、再建する(債権放棄)
明らかに債務超過なので、倒産させ、不良債権を処理し、土地など動産を売却・整理して、その上で再建の道を模索する

最初は1で政府が助けるといい、世論の反発があったので、次に2でお金を貸していた銀行が責任を取り、60億円貸していたら、そのうち20億円をチャラにしてあげる、といった形になりそうでした。ところが、それも反発が大きく、最終的に3で、形として倒産しました。上の説明では1の場合の数値例をあげましたが、その算定は不確実な部分も大きいので、同意にはいたりませんでした。

重要なのは、倒産した後です。日債銀や長銀などもほぼ倒産に近い形で、新たな会社になりましたが、倒産して0になるわけではありません。倒産しても、その店舗や人材は残っているわけですから、それらを活かして、少しでも利益を上げて債務を返済できる可能性があるわけです。そこで西武百貨店の会長さんなどが新しい経営者として就任し、立てなおしのプランを講じているわけです。そごうも再建プランを進め、出きるだけ倒産の負債を減らす事が望まれます。

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