金融再編の方向性−地銀再編(99.4.10)
第2地銀の国民銀行が破綻し、ブリッジバンク(受け皿銀行が見つかるまで経営を引き継ぐ)か長銀などと同じ、国の特別公的管理(一時国有化)の処理を受けることがきまった。地域の地銀の再編が進む契機になると予想されるが、再編には大きく分けて以下の2つの方向性が考えられる。
1 縦の再編
大手銀行との業務提携や合併を進めることで、資本基盤を強化し生き残りをかける。住友銀行も大阪の地銀を吸収し(銀行名は失念)、地盤を強化した。都銀にとって有効な手段であるが、地銀の財務体質など問題点が多い場合は、合併といってもほぼ吸収合併になる可能性が高く、MBO(マネージメント・バイアウト---買収しても経営陣や従業員はそのまま)にはなりづらい。地銀は、合併とともに条件として新たなリストラなどが要求される事も予想され、いずれにせよ厳しい経営が望まれる。
2 横の再編
地銀がそれぞれの得意分野に特化して、比較優位にもとづいて連携するもの。第1地銀などはこのパターンが多く、結果としてスーパーリージョナルバンクの登場が予想される。首都圏を除いたほとんどの各県は、主要な第1地銀が1つ存在することが多いので、そうした有力地銀の連合となる。この場合これまで以上に地域密着型の経営になるであろう。
以上であるが、もちろんこの両方が錯綜した再編となるであろう。都銀の中にも海外から撤退し、国内に特化するものもある。不良債権処理などで体力が低下している中、不採算部門は切りすて、高収益部門に特化して体力を高めるのは、今後の競争勝ち残りのためには必須となるので、互いの弱点を補完する意味での合併は有用である。外資系金融機関では、ホールセール(投資部門)とリテール(商業部門)という相互補完的な業務提携が一般的である。地銀を含めた金融界の再編は今後も進むであろうし、その際思い切りと客観的な情報分析が欠かせないツールとなる。
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