年金問題の問題点の分析
(00.4.28)
【年金の種類】
年金といえば、一頃新聞では「確定給付型」とか「401k」とかが紙面をにぎわせました。あれはなんぞや、ということです。もともと年金には賦課方式と積立方式の2種類があります。解説すると、
●賦課方式: |
ある時点で、若い人が年金を払い、その時点の老人がそのお金を分ける |
●積立方式: |
若い時に年金を自分のために積み立て、それと利子を将来老人に なったとき受け取る |
ということです。日本政府は修正積立方式といっていますが、内容的にはほぼ賦課方式です。つまり、若い人がその時点の老人の給付金を、シェアして拠出しているのです(経済学では若い人と老人の2人で考えます)。401kとは、この積立方式の年金方式のことです(アメリカで401条k項に記載されてることから)。
【問題点1】
ここで問題点は、若い人口が減っている事です。若年・老人が各100人で年金を1円と仮定すると、若い人が1円払い、老人が1円もらいます。若い人は1円払ったので、老人になったら1円もらう権利ができます。
そしてその若い人が老人になったとき、その時点の若い人の人口が減少して95人くらいになったとすると、老人がもらうべき100(人)×1(円)=100(円)を95人でシェアする必要があります。(約1.05円)
そしてまた次の時代になって、若い人が90人なったら、老人がもらうべき95(人)×1.05=100(円)を90人でシェアするので、約1.1円払う事になります。このように、人口が減る事で、どんどん1人当たりの負担が大きくなるわけです。これが1つめの問題です。
【問題点2】
次に、このような現状で、積立方式は魅力的に見えます。つまり、1人1人が将来の自分のためにお金を積み立てるので、人口減少には影響を受けないからです。ところがここに2つ目の問題点があります。
よーく考えてもらえば分かりますが、方式を移行するときは、ある世代の若い人は、
1 |
老人がもうらうべき年金を、若い人でシェアして支払う(賦課方式に対応) |
2 |
自分の将来のために積み立てる(新しい積立方式に対応) |
の両方を負担しなくてはいけないことになります。これは大変です。これが2つめの問題点です。
【日本の現状】
問題点1より、このままでは大変になるので、早く積立方式に移行しようとしていますが、問題点2があるのですぐにはできません。その過重負担部分を政府が出すか、あるいは国民が負担するか、はまだ結論が出ていません。
「どうせ払ってもその分もらえないんだろ」とよく言われますが、問題点1で「老人は若い時に払った分をもらう権利がある」と説明しましたが、年齢制限などをもうけて「老人に払う額」を出来るだけ少なくしている、という事です。
年金も早急にシステムを考えないと破綻しますので、経済学者を中心に今まさに、よい方法を探しているところです。注目しましょう。
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