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商工ローン問題−金融機関の機能 (1999.11.14)

 

みなさん、今商工ローンなどのノンバンク(消費者金融など)が話題ですが、それら非銀行金融機関と銀行の違いってなんだか分かりますか?

正解は「預金」です。 もちろん、識者の中には、決済システムとか信用創造をあげられる方もいるは思いますが、それは後で説明します。

我々にとっての「預金」はご存知のように銀行に預けて、それにはわずかに子がつきますが、それ以外に「安全性」「口座振替(自動引き落とし等)」どのメリットがあります。

まず資金調達サイドから見て、この預金を考えてみます。常の会社は、株式・社債・借入によって資金調達するわけですが、行にとっては預金も資金調達の方法になります。それが可能なのは、行だけです。ここが大きな違いです。商工ローン各社は銀行からの借入など大きく依拠しています。(後述)

実はこの預金によって可能になる銀行の機能は大きく分けて以下の3つです。

1 金融仲介  ・・・・お金の貸し借りの仲介
2 信用創造  ・・・・以下で説明
3 決済システム・・・・口座振替・送金などの債務の決済 

「信用創造」について簡単に説明します。なさんお金を1もっていると、そのうちXの割合で使い、1−Xを預金する仮定します。銀行は預金されたお金を全部違う人に貸す事にします。すると

 / X
1      /(1-X)X
 \(1-X)         /(1-X)(1-X)X
      \(1-X)(1-X)             /       
              \(1-X)(1-X)(1-X)
                          \ ・・・・・
  1人目   2人目       3人目    

となります。上が何かに使うお金で、下の段が預金するお金です。うすると、総預金額は
                               1  
 (1-X)+(1-X)(1-X)+(1-X)(1-X)(1-X)+・・・・・= ━ > 1 
                              X
となり、なんと当初の1-Xの預金が、最終的には1よりも大きくなることがわかります。これが預金残高を増やす「信用創造」と呼ばれるメカニズムです。残高が増えれば、市中に貸し出しできる金額はさらに増える事になります。この機能は非常に重要です。

さて話がそれましたが、これらは資金調達面の話でした。は次に資金運用面について議論します。

基本的にはどちらも「お金を融資→利子をつけて返却してもらう→利ざやで稼ぐ」いう構造で、それはほぼ同じです。ただし、問題になっているようにの貸付利率が違うのです。

       違反     法律的には左のようになっていますが
  40% ━━━━━  商工ローンはこのグレーゾーンで貸付している
      グレーゾーン  わけです。
  15% ━━━━━
       合法 

またデータによれば、
 ・都市銀行の中小企業向けの貸出残高−増加(貸し渋りとはいえない)
 ・都市銀行の貸出し件数      −減少傾向
であるが、貸出し対象の中で大きく成長したのは消費者金融業者であり、この業者たちが成長したのは、銀行の貸出しがあればこそ可能であったといえるわけです。そこで、先日都市銀行は「社会的な状況を考え、業者への新規貸出しを一切ストップする」という発表をしました。

また状況としては、リスクが高くて銀行が貸し出さない人が、ますます費者金融に流れ、高金利で資金を借りる構造になるのが現実です。経済学ではこういう状況を「逆選択」といいます。

【用語説明:逆選択】
典型的には中古車市場が例にあげられます。中古車は、ちょっとみただけでは優良車か不良車か分からないので、買い入れ価格は不良車に合わせて決まり、優良車を持つ人は市場に車を出さなくなる、という現象です。

さらにそうしたリスクの高く消費者金融から借りるしかない人についても道によれば、「中小企業は年間利益が15%〜20%であり、40%近い率など払えない」「貸し付けの7割から8割は保証人めあて」など権回収の手段が、すでに保証人を意識しているものが多いという話をきます。そうした社会公正に反する状況を脱すべく、政治的にも国会で論され、現在開会中の国会は「商工ローン国会」などといわれています。

「借りたら返す」は基本ですが、
 ・正当な方法で貸出・回収すること
 ・返済余力を正確に算定し、それ以上は貸さないこと
 ・契約の透明性を高め、説明責任を果たすこと
など「貸す側の責任」も考える必要があるといえます。

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