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マーケットの動き−財政政策の影響(99.3.22)

 

マーケットでは、株式・為替(円ドルレート)・債券(国債)の3つの値を評価する事が多いです。新聞をにぎわす事が多いのもこの3つの指標である事が多く、3つがともに価値が下がるいわゆる「トリプル安」といった状況もここ1年の日本ではよくおきました。そこで、これらの簡単な説明とともに、その背景にあるといわれる経済メカニズムを説明したいと思います。まずは簡単にこれらを説明します。

株式: これは日経平均で判断する事が多いですが、これは上場されている全銘柄の平均ではなくて、東京証券取引所1部上場225銘柄の平均株価の事です。最近は上がり傾向であり、16000円を突破しました。ちなみに1980年代後半からのバブル期には、2年間で3倍近い39000円近くまで上昇しました。
為替: これは日本の通貨である円と対外通貨の交換レートですが、1ドル100円から1ドル200円になると、円の価値が2分の1になっているため「円安」に、その逆の動きを「円高」と呼びます。日本の国力を反映する事もあれば、相対的な影響も受けるので、アメリカの動向(クリントンのスキャンダルなど)も反映します。
債券: 経済主体が発行する債務の保証書のようなものであり「債券を発行する」ということは、「借金をする」ということです。償還期限があり、会社が発行した債券は社債といい、国が発行するものを国債といいます。以下で債券価格とは国債のことをさし、債券価格が上昇すると利子率は下がり、価格が下落すると利子率は上昇します。

 

ではそれぞれの価格はどのような要因で変動するのでしょうか。今回は財政政策の影響をまとめてみます。

財政政策とは、政府支出で公共投資などを行う政策で、昨年の30兆円の特別経済対策などはその典型例です。

政府支出を増大する際には、当然その財源が問題になります。通常の予算で組まれるものは、税金や通常の国債がその財源ですが、臨時の支出はそれではまかないきれないため、新たに国債を発行してその財源にあてる事が多いです。この赤字国債大量発行が、様々なチャネルを通じてマーケットに影響を与えるわけです。

通常の枠をこえた国債の大量発行は、資金運用部(日本では大蔵省理財局)の引受け中止観測につながり、それが需給悪化懸念を招きました。当然それによって債券価格は下落し、長期プライムレート(利子率)は上昇します。この長期プライムレート上昇が実質利子率に与える影響については様々な分析がありますが、一般に金融機関の資金運用先で長期国債(流通しているもの)は大きな部分を占めるので、実質利子率の上昇を招くと考えます。日本の利子率が上がれば外国の資金が集まるので、円高を招き、債券価格の下落は円高要因にもなるわけです。

一方で政府と地方の長期債務の合計はGDP(約500兆円)とほぼ同規模になっています。その上さらなる国債増発や資金運用部の買い入れ中止観測(撤回されました)などは政府の財政破綻など日本経済への将来不安を形成するので、同時に円安要因にもなるわけです。

為替の動きについては上のように一概には言えませんが、その時々でインパクトのある要因に反応すると考えられます。

このように様々なチャネルがあるので、マーケットの推移は複雑ですが
背景には上のようなメカニズムがあるわけです。

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