日銀の国債引受(99.3.22)
最近日本銀行の国債引受がよく議論されます。日銀は現在買いオペという形で,発行してから1年経過した国債を、マーケットを通じて買い入れています。
そして話題に上る、日銀引受とは、新規国債を直接買い入れるという事です。この行為は財政法4条で禁止されているのですが、議論の焦点は、買いオペも日銀引受も本質的には変わらないのでは、ということです。
オープンマクロモデルの代表である、マンデルフレミングモデルによれば日銀引受をともなう財政政策(政府支出の増大)は、ケインジアンとマネタリスト共にGDPについて効果がある事を認めています。
また今後景気対策の財源として発行される国債については需給悪化観測があり、それが長期プライムレートの上昇を招いている現状にあって、その国債の消化を順調にこなすためには日銀引受けもやむをえないのでは、という事が議論のきっかけです。実質的に国債を買い入れているという点ではその議論は的を得ていますが、財政法を改正して日銀引受を可能にする事は、様々な問題点があります。
買いオペと日銀引受の大きな違いは、マーケットを媒介にするかどうか、ということです。買いオペはマーケットに供給された国債のみしか対象になりませんが、日銀引受は新規国債全てが対象になるため、国債の発行を無制限に可能にしてしまうわけです。
第2次大戦中に戦費調達のため日銀引受をして、相当な量の国債が発行され、結果としてハイパーインフレーションが起きたこともあり、戦後財政法で日銀引受が禁止された経緯があります。
このように際限なき国債発行を示唆する日銀引受には慎重になる必要があるわけですが、それが議論になること自体、すでに問題かもしれません。
|