━━ Economics Today ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
1999/12/18号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ このメールマガジンは、まぐまぐ・Pubzine・Cocodeで読者登録された方へ
送付されております。ご購読有り難うございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ バックナンバーご希望の方は、下記アドレスにてご覧になれます。
http://www.grad.e.u-tokyo.ac.jp/~kenta/magazine/magazine.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
みなさんこんにちは、片山です。
すっかり寒くなりましたね。もうコートが必須です。
さて、今回は財政政策についてですが、特に公共財についてとりあげます。
その供給については様々な議論がされてしますが、理論的には過小供給なのに
現実は過剰供給になっています。それはなぜか、を分析します。
それともう1つ、動学的不整合性という概念を取り上げます。
今回は導入ということで簡単ですので、是非(!)そちらは読んでみて下さい。
では。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■目次
1(初級)動学的不整合性−導入編
2 公共財供給の理論と現実
3 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1(初級)動学的不整合性−導入編
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さて、この「動学的不整合性」なんていう小難しい単語ですが(経済を勉強
している方でも初級者の方は聞いたことないと思います)、実は簡単です。
定義は「事前に最適である政策が、実際に政策を行う段階では必ずしも最適
ではなくなること」です。
例をあげます。それで一発。学校の定期試験を考えましょう。
我々(学生とします)は「明日が試験」の時、夜眠くなり、明日朝早く起きて
勉強すればいいや、という誘惑に襲われることがよくあります。
(みなさん経験済みですよね??)
そして、これは事前では最適な行動です。そして寝ちゃいます。
ところが実際朝起きてみると、頭はボーとして勉強なんか手につかない。
かくして思うほど朝は集中して勉強できず試験を受けることになってしまう。
事後的には必ずしも最適ではない!試験が出来ない!となります。
これが動学的不整合性のエッセンスです。
直感的にはお分かりいただけたのではないか、と思います。
この概念を使うと、政策の色々なことが分かります。
それについては次回説明したいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ ▼PR ] ========================================================
■■今までになかった新しい求職・求人サービス![アクティブウェブ]■■
日本初の本格的求職広告(匿名無料)でお仕事探しを応援します!応募はもち
ろん、企業からの勧誘が受けられる双方向の新サービス!ホームページと無料
メルマガのダブル広告で効果大!転職、就職、SOHO、契約、派遣等もOK
求人広告も多数。★★ < http://216.71.100.246/a/a.cgi?k0003m0325
> ★★
========================================================
[ ▲PR ]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2 公共財供給の理論と現実
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1つめを簡単にしたことで、ある程度責任を果たした気になっているので(笑)
ここのセクションは若干難しくなるかもしれません。m(_ _)m
通常公共財の供給は、理論的にはBowenの中位投票者ルールにより、供給量は
等負担のルールで決まり、社会的に最適な供給量よりも少なくなるとされる。
(中位投票者ルールとは、投票者が選挙で政党を選ぶとき、政党は公約へ
コミットしなければならず、すると公約は中位投票者の支持する政策と同じに
なるというもの)
ところが現実には日本を含め、公共財や公共投資などは過大に実現する傾向が
ある。これはなぜだろうか?以下3つほど説明する。
(本来は数式での説明が明示的だが、表現の都合上言葉で書く事にする)
1つめは政治的便益の問題である。
政治家は選挙区での支持率アップと政治資金獲得が大きな目的であり、その
ため公共財のコストの一部が政治家に戻る構造が考えられる。
すなわち、ネットで政治家(政府)が公共財に支払うコストがへるわけである。
すると供給費用を過小評価することになり、結果として公共財の過剰供給に
なる。
この背景には「鉄のトライアングル」という官僚・政治家・産業界の絡み合い
がある。官僚が、政治家の圧力のもと公共事業を決定し、業者の談合で
発生したレントが政治家にわたる。これが上の理論の現実的な分析である。
2つめは他地域へのフリーライダーが考えられる。
公共財の特徴の1つである非排除性により、公共財を一旦供給すると、
それを利用する人を限定することはほとんど不可能になる。
また地方公共財はこの問題がつきまとうが、中央政府が補助金をある割合で
拠出すると、該当地域の地方政府が負担するのはコスト全体の一部分になる。
すると1つ目と同様に、該当地域にとって支払う費用がへるので、供給費用を
過小評価して、公共財を過剰供給することになる。
補助金は地方分権の仮定の元では、他地域の税収の一部と考えられるので、
そこにFree Riderの要素が生まれる。
3つめは、政権交代に伴うDynamic "Free Riding"と呼ばれるものである。
これは前号のマガジンでも取り上げたが、政権交代のタイミングでは
大規模な財政支出が起こるというものである。(前号参照)
今回の場合では、2大政党制を想定する。
軍事に関心のある共和党(与党)と福祉に関心のある民主党を考える。
選挙によって政権が交代することを予想すると、与党である共和党はどのように
動くだろうか。
答えは、政権交代しても民主党が赤字削減をせざるをえない状況を作るのである。
すなわち政権党である間にあらかじめ政府赤字を作るインセンティブがあり、
共和党は戦略的に防衛支出を大幅にアップすることになる。
これが公共財の過剰供給の3つ目の説明である。
以上3つの理論的分析でしたが、みなさんはどのような感想でしょうか。
ちょっと難しい気もするので、質問もどしどし下さい。
個人的には、日本では1つめの説明がもっとも明示的に適用される気がします。
みなさんはどうですか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
もうすぐ年の瀬ですね。
なんでも今年の年賀状は12月20日までに出さないといけないらしく、
まだ年賀状すら手に入れてない僕にはほとんど不可能に近いです。(笑)
このマガジンも年内にあと1回ほどの発行を予定しています。
よいクリスマス、年の瀬を。では。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■文中のコメントは筆者のオリジナルな見解であり、一切の権利は筆者に帰属
しています。いかなる目的であれ、無断で複製または転送などを行わないよう
にお願い致します。
Copyright(C) 1999 Kentaro Katayama All rights reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 購読の中止、配信先の変更は下記URLにて可能です。
http://www.grad.e.u-tokyo.ac.jp/~kenta/magazine/magazine.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 配信システム まぐまぐ http://www.mag2.com/ (ID = 9205)
Pubzine http://www.pubzine.com/ (ID = 3278)
Cocode http://mail.cocode.ne.jp/ (ID = 0600100042)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」1999/12/18
発行部数:3800 部
発行者 :片山 健太郎
E-mail :katayama@netjoy.ne.jp ご意見・疑問などお気軽に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Economics Today ━━
|