http://www.KRIEP.com

ばなー
Welcome to KREIP!!
   

 

Home
Concept
Profile
Economics
Policy
Magazine
Note
Books
Papers
Links
BBS

 

 

 

━━ Economics Today ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        !!使える!!経済の基礎知識から応用まで
                Economics Today
                  1999/3/22号 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ このメールマガジンは、まぐまぐ・Pubzine・Cocode・Clickincomeで読者
  登録された方へ送付されております。ご購読有り難うございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

みなさん、お久しぶりです、片山です。
2月1日号以来実に約2ヶ月ぶりの発刊になります。
間をあけてしまい、申し訳ありませんでした。

所用が立て込んでいた事もあり、また旅行でアメリカに1ヶ月ほど
滞在していたため、遅れました。
その旨メールで伝えるのが礼儀なのは重々承知していたのですが、
「そのメールを出すのが不可能なほど、出発前も忙しかった」
というのは、少々甘えでしょうか。(笑)
さて、はじめましての方もずいぶんいらっしゃる事と思いますが、
これからは、元通り週間予定で発刊していきますので
どうぞ宜しくお願いします。

==============================================================
■目次
1 マーケットの動き1−財政政策の影響
2 日銀の国債引受
3 編集後記
==============================================================
1 マーケットの動き1−財政政策の影響
==============================================================

マーケットでは、株式・為替(円ドルレート)・債券(国債)の3つの値を
評価する事が多いです。
新聞をにぎわす事が多いのもこの3つの指標である事が多く、3つがともに
価値が下がるいわゆる「トリプル安」といった状況もここ1年の日本では
よくおきました。
そこで、これらの簡単な説明とともに、その背景にあるといわれる経済
メカニズムを説明したいと思います。

********* 用 語 *********

株式:これは日経平均で判断する事が多いですが、これは上場されている
全銘柄の平均ではなくて、東京証券取引所1部上場225銘柄の平均株価
の事です。最近は上がり傾向であり、16000円を突破しました。
ちなみに1980年代後半からのバブル期には、2年間で3倍近い39000円
近くまで上昇しました。

為替:これは日本の通貨である円と対外通貨の交換レートですが、1ドル
100円から1ドル200円になると、円の価値が2分の1になっているため「円安」
に、その逆の動きを「円高」と呼びます。日本の国力を反映する事もあれば、
相対的な影響も受けるので、アメリカの動向(クリントンのスキャンダル
など)も反映します。

債券:経済主体が発行する債務の保証書のようなものであり「債券を発行
する」ということは、「借金をする」ということです。償還期限があり、
会社が発行した債券は社債といい、国が発行するものを国債といいます。
以下で債券価格とは国債のことをさし、債券価格が上昇すると利子率は
下がり、価格が下落すると利子率は上昇します。

以上が簡単な説明ですが、ではそれぞれの価格はどのような要因で変動
するのでしょうか。今回は財政政策の影響をまとめてみます。

*****************************

財政政策とは、政府支出で公共投資などを行う政策で、昨年の30兆円の特別
経済対策などはその典型例です。

政府支出を増大する際には、当然その財源が問題になります。
通常の予算で組まれるものは、税金や通常の国債がその財源ですが、臨時の
支出はそれではまかないきれないため、新たに国債を発行してその財源に
あてる事が多いです。この赤字国債大量発行が、様々なチャネルを通じて
マーケットに影響を与えるわけです。

通常の枠をこえた国債の大量発行は、資金運用部(日本では大蔵省理財局)
の引受け中止観測につながり、それが需給悪化懸念を招きました。
当然それによって債券価格は下落し、長期プライムレート(利子率)は
上昇します。この長期プライムレート上昇が実質利子率に与える影響に
ついては様々な分析がありますが、一般に金融機関の資金運用先で長期国債
(流通しているもの)は大きな部分を占めるので、実質利子率の上昇を招く
と考えます。日本の利子率が上がれば外国の資金が集まるので、円高を招き、
債券価格の下落は円高要因にもなるわけです。

一方で政府と地方の長期債務の合計はGDP(約500兆円)とほぼ
同規模になっています。
その上さらなる国債増発や資金運用部の買い入れ中止観測(撤回されました)
などは政府の財政破綻など日本経済への将来不安を形成するので、同時に
円安要因にもなるわけです。

為替の動きについては上のように一概には言えませんが、その時々で
インパクトのある要因に反応すると考えられます。

このように様々なチャネルがあるので、マーケットの推移は複雑ですが、
背景には上のようなメカニズムがあるわけです。

==============================================================
ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
==============================================================
2 日銀の国債引受
==============================================================

1にも関連しますが、最近日本銀行の国債引受がよく議論されます。
日銀は現在買いオペという形で,発行してから1年経過した国債を、
マーケットを通じて買い入れています。

そして話題に上る、日銀引受とは、新規国債を直接買い入れるという事です。
この行為は財政法4条で禁止されているのですが、議論の焦点は、
買いオペも日銀引受も本質的には変わらないのでは、ということです。

オープンマクロモデルの代表である、マンデルフレミングモデルによれば
日銀引受をともなう財政政策(政府支出の増大)は、ケインジアンと
マネタリスト共にGDPについて効果がある事を認めています。

また今後景気対策の財源として発行される国債については需給悪化観測が
あり、それが長期プライムレートの上昇を招いている現状にあって、
その国債の消化を順調にこなすためには日銀引受けもやむをえないのでは、
という事が議論のきっかけです。
実質的に国債を買い入れているという点ではその議論は的を得ていますが、
財政法を改正して日銀引受を可能にする事は、様々な問題点があります。

買いオペと日銀引受の大きな違いは、マーケットを媒介にするかどうか、
ということです。買いオペはマーケットに供給された国債のみしか対象に
なりませんが、日銀引受は新規国債全てが対象になるため、国債の発行を
無制限に可能にしてしまうわけです。

第2次大戦中に戦費調達のため日銀引受をして、相当な量の国債が発行され、
結果としてハイパーインフレーションが起きたこともあり、戦後財政法で
日銀引受が禁止された経緯があります。

このように際限なき国債発行を示唆する日銀引受には慎重になる必要が
あるわけですが、それが議論になること自体、すでに問題かもしれません。

===============================================================
ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
===============================================================
3 編集後記
===============================================================

久しぶりのメルマガで、内容が雑かもしれませんが、ご容赦ください。
次週は、金融政策のマーケットへの影響をまとめる予定です。

いまバックナンバーのページが都合で閉鎖しています。
早急に復旧しますので、新規の方はいま少しお待ち下さい。

来週には東京でも桜が見れるそうです。もう春ですね。
また来週。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■文中のコメントは筆者のオリジナルな見解であり、一切の権利は筆者に帰属
しています。いかなる目的であれ、無断で複製または転送などを行わないよう
にお願い致します。
    Copyright(C) 1999 Kentaro Katayama All rights reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 購読の中止、配信先の変更は下記URLにて可能です。
http://www.grad.e.u-tokyo.ac.jp/~kenta/magazine/magazine.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 配信System まぐまぐ  http://www.mag2.com/   (ID = 9205)
           Pubzine   http://www.pubzine.com/ (ID = 3278)
           Cocode   http://mail.cocode.ne.jp/ (ID = 0600100042)
           Clickincome http://clickincome.net/ (ID=m00003291)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」1999/3/22
発行部数:2894部
発行者 :片山 健太郎
E-mail :katayama@netjoy.ne.jp ご意見・疑問などお気軽に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Economics Today ━━

▲このページのトップに戻る▲

  


当サイトについて著作権問い合わせ更新履歴サイトマップ

Copyright(c) 2000-2002. Katayama Research Institute of Economics and Policy. All right reserved.