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        !!使える!!経済の基礎知識から応用まで
                Economics Today
                  1999/2/1号 
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みなさんこんにちは、片山です。

さて、今回で21世紀を考える会フォーラムの実況中継は完結です。
ご意見ご質問などもお寄せ下さい。

そして、きちんとした文章ではなく、メモをまとめただけという意味でも、
なんか手ぬきっぽいな、と自分では思っていますが(笑)
その内容が実は相当濃い事と、次号より通常通りに再開することで
ご容赦ください。

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■目次
1 経済危機克服の戦略3−パネルディスカッションより
2 編集後記===============================================================
1 経済危機克服の戦略3−パネルディスカッションより
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先日行われた学生シンクタンク「21世紀を考える会」のパネルディカッション
の要旨を3回に分けてお送りしています。
会の詳細はバックナンバーをご覧ください。

パネリスト: 京都大学 経済学部 吉田和男教授
東京大学 経済学部 伊藤元重教授
大阪大学 経済学部 跡田直澄教授
横浜市立大学商学部 藤野次雄教授
慶應大学 経済学部 塩沢修平教授

モデレーター:慶應大学総合政策学部 竹中平蔵教授

質問に対する、パネリストの返答という形をとっています。

<<Q:いわゆる「小さな政府」論が主流になっているが、それを推進する事
で本当に経済は成長軌道に乗るのか、不安が出ると逆に消費は減るのでは?>>

<元重先生>
・「小さな政府へ移行だと将来の不安を引き起こして、
消費を減らして国民の貯蓄率が上がる」というロジックは認識がちがう。

今の「大きな政府」が国民に信任を得ているかどうかがポイント。
あまり国民から信任を得てないのではないだろうか。
サイズの問題ではなくて「やることはやる」
「やらなくていいことはやらない」ようにすることがポイント。

・政策が信じられていないのでは。
「民間主体」にしても国民がどう受け取るかは不確定。
消費の問題にしても、消費税を下げた後どうなるのかは分からない。
将来の増税を予測して、消費は増えないかもしれない。
長期的な視点を出す事が必要なのである。

・学者は、色々な人を説得しないといけない。
特に新聞などの中でも頭のかたい人をどう説得するかが問題。

<竹中先生>

・小さな政府論を考える時に、セーフティーネットをどこに求めるか、
も問題。
これまでは「企業」が企業年金や終身雇用でその役割を果たしていた。

それに代わるものは政府だろうか?それはおそらくない。
「教育」ではないだろうか。教育で人的資源の価値を高める必要がある。
これがセーフティーネットになるのでは。

・また説得は、政治家とメディアの責任が大きい。
(小渕首相の戦略会議の中間報告を見ての発言に対して)
「これ全部やったら日本はよくなるね」>他人事みたいに言わないで下さい。
「僕ももっと長く首相やりたくなってきたよ」
>それがいい事かどうかは分かりませんが。

<<Q:どんな議論システムを作るか>>

<吉田先生>
・システムの議論の場・仕組みを作る必要がある。
しかし、システムの議論は利害があるのですぐやめてしまう。
政策を多元的に議論しないとだめ。

・アメリカのシースパン(テレビ局)は国会中継を絶え間なく放送。
日本にはこうした対案を出して議論するというディベートの仕組みがない。
これを生活習慣に入れてもよいのでは。
もちろんそれだけになっても疲れますが。

<<Q:効果ある公共投資・社会資本整備とは?>>

<跡田先生>

・短期的にも長期的にも否定的。
生産力に寄与する社会資本設備が必要だが、それは情報関係のみであろう。

・社会資本整備は生産性を考慮したものと、生活を考慮したものに
分かれるが、前者は借金しても返済されればやってもいいが、
後者は借金してまでやるものではない。
なぜなら後者は生産性に寄与しないからである。

・政策のプロセスを全部公開する必要。
学者などの作った理想論を、政治のプロセスなどで、
誰がどのようにゆがめているかを公開すればよい。

<吉田先生>

・ミュンヘンは公共投資はGDPの1%にすぎないが効果的である。
それでハブ空港、見本市改革、大学の3つに投資して成果を得た。
大学は非常に重要。「ソフトを作るためのソフト」というインフラである。

<<Q:今、誰がどういうトリガーをひかなければいけないか>>

<吉田先生>
トリガーをひくのはあなたです。
全ての人が自分でやらないと駄目。
先生自身も
教育がおかしい>月1回の私塾を開いている。
金融がおかしい>ベンチャーキャピタルをつくる努力している
と実行しているように、結局自分でやらないと駄目。

<元重先生>
政治と経済の改革は違う。
政治改革は派手ではあるが、何も残らない。
経済改革は、目にみえない胎動が重要である。
マイクロソフトも、何人かの若者があるガレージから生まれ、
いいにつけ悪いにつけ話題にのぼるヘッジファンドもイトウ方程式を
シカゴ大学などの学生が紙の上で議論したものがスタート。
(イトウ方程式は元重先生とは関係ないそうですが)

すなわち、1人1人がそれぞれの引き金を引く責任を持っている。
柳沢金融担当大臣は日債銀問題などの金融再生のトリガーを、
銀行首脳はリストラのトリガーを、
小渕首相は様々な決断のトリガーを引かなければいけない。
個人個人みんなそれぞれ役割がある。

<跡田先生>
日本を開国することが課題。
自国だけでマーケット化はまだ無理。
外国資本を大量に導入したり、人の流入も促進する。
明治初期のように閉鎖的システムを開放すること。
特に金融セクターはこれが活性化の鍵になる。

<藤野先生>

新しいシステムを提供していく側の信認を得るための努力と、
受け入れていく側の情報の解釈と信認、という信認の需要と供給のバランスが
くずれているのではないだろうか。
そのためには競争して、信認を取る為に両方とも努力する必要がある。
コストを考えて自分の生活をファイナンスするようになればいい。

<塩沢先生>
この時代に必要なのは、まさに福沢諭吉の「独立自尊」ではないでしょうか。
(この日は福沢諭吉の命日ということで、慶應の先生らしいコメントです。)
政府に対応を求めるのではなく、我々の手でやるという発想が必要。

<竹中先生>
気力の心理学によると
「やってもやっても無駄で達成感がない」「何もしなくても与えられる」
の場合無気力になる。
日本の経済システムもまさにこの2つがあてはまる。

規制・慣行だらけで、ようやくそれをくぐっても税金で沢山とられる。
一部の地域・産業・企業は何もやらなくても与えられる。

解決の為には独立自尊の精神で、みなさんが自身でトリガーを
ひくことが必要。
また政策を多元的に議論する場を社会に作る必要。

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以上ですが、どうだったでしょうか。
僕のメモなので、力不足の部分もあるとは思いますが、
様々な議論のヒントが相当含まれているのではないでしょうか。

結論として、やはり民間の自由競争やそれをバックアップする仕組みの醸成、
そして様々な自由な議論を通じてその競争の質自体を上げること、
が今後の日本のポイントになりそうです。

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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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2 編集後記
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みなさんからの質問がたまってきました。
国債についてや、サプライサイドの話し(雇用やストック調整などもふくむ)
通貨の話し、また経済学自体についての疑問など幅があります。
今までメールでその方に直接お返事した分も含めて、まとめてみたいと
思います。

ではまた来週。

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