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!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
1999/1/24号
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こんにちは。
みなさん、片山です。
今回は、前回に続き、21世紀を考える会という学生シンクタンクの
フォーラムのパネルディスカッションの要旨をお送りします。
(会の詳細は、バックナンバーを参照)
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■目次
1 経済危機克服の戦略2−パネルディスカッションより
2 編集後記
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1 経済危機克服の戦略2−パネルディスカッションより
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先週の続きです。
パネルディスカッションの内容を、質問に対する答えという形式で綴ります。
色々な先生方(詳細は前号参照)のコメントをまとめてあります。
ご自分なりの考えと比較して頂ければ幸いです。
先生によってはコメントが、必ずしも質問の答えになっていない方もいます。
それは片山のメモをとる集中力が一時的に落ちていたか、その先生のコメント
そのものが的外れだったか、あるいはその両方か、です。
ご理解下さい。m(_ _)m
(想定される方は前号でも今号でもお1人ですが・・・)
<質問>
ポリシー・クライシスと言われている現在において、緊急避難的な政策が
続いているが、その評価は?
<跡田>
・バブル後の極端なケインズ・ポリシーは一応景気を下支えしているのでは
ないだろうか。
・本来的な効果はまた別の問題で、それは疑問が残る。
もちろんある程度の経済効果はあるはず。最低でも下支えに使ったコストが
回収できているかどうかがポイント。少なくとも5年で回収できないと
効果があったとは言えない。
・税や利払いを含めて、ほぼ3倍の効果があって初めて意味があるといえるが
それは今や現実的に無理なのでは。
<塩沢>
・金融機関の破綻ルールが出来つつある。
これまで金融機関は、量が多く、借り手を探す能力などにかけていた。
これからはルールの設定によって、金融機関を減らす事が可能になるので
その点は評価したい。
・景気対策の財政支出については、これからは中身を変えないと駄目なのでは。
<元重>
・財政政策についてはコメント程度にさせていただきたい。
実は正月風邪を引いて寝込んでいたのだが、夢の中にマルクスとケインズが
出てきて世の中を悪くしていた。やはりこの2人が出てくると景気が悪くなる
のだろうか。
・金融については、経済戦略会議でその担当だったこともあり、そのメンバー
の共通認識を交えてまとめてみる。
日本の金融には大きな矛盾があると考えられる。
現在の国民の資金の多くは、元本保証のウェイトが大きい。
しかしながらその資金はリスクのある先に投資されているのである。
設備投資でさえもリスクはある。
例えば郵便貯金は、当然元本保証で、その総額は東証の株価総額を超えている
と言われるが、その運用先にはリスクがあるわけである。
この矛盾の解決の為にはリスクの取れるように資金を流す必要がある。
アロー・リーンの定理によれば
「リスクは1人で抱えるよりも10人で抱えるとリスクは100分の1になる」
のである。
方法論としては、個人レベルでは、マーケットとの関連においてデリバティブ
を使用した投資信託などが成長する必要がある。
また企業レベルでは、ノンバンクが発行するCPなどの発達が必要で、その
ためには、CP発行の為のいわゆるファイナンスカンパニーなども必要である。
例えば不動産に関しては、ビルの証券化による分散投資など、ノンバンクの役
割が大きくなる。
これらは制度的な矛盾であり、法制度の整備も必要であるが、中長期の課題
でもあるので、早急に行う必要がある。
<藤野>
・メインバンク制などは、日本経済の成長によって発達したといわれるが、
そうした外的環境がなくても発達したのではないだろうか。
・これからの金融は、いわゆる仲介業と、流通だけでなく製造業的な役割に
2極化するのではないか。
・日本人のリスクプリファレンス(リスク選好)が不変かどうか、というのも
問題のはず。
情報弱者の存在もあり、これが制度によって変化するのかは疑問。
果たして投資信託は増えるのだろうか。教えて頂きたい。
・財政政策については、逆説的だが、学者がケインズポリシーをきちんと
教え過ぎたから、効かなくなったのではないだろうか。
<元重(藤野先生の質問を受けて)>
・日本人のリスク選好については、郵便貯金もあればJRAもあるので、やは
り制度・仕組みの問題と考える。
例えば、10年前にある都銀の幹部と話していて「日本人はつつましやかだか
ら、支店の窓口でボードで金利を比べる事などない」と言っていたが、制度が
変わった5年後には窓口には金利ボードが並んでいた。
・情報については、よくニワトリと卵の関係のようだといわれる。
誰かにまかせておいたら安心しているが、その実体を知らされたら身構える。
その意味では、実体を知らせればあるレベルでは情報を取れるのかな、と思う。
企業戦略としてもそれは重要で、その例として、メリルリンチでは、経営を
立て直す為の支店長会議の議事録の中で、「これまでの墓石広告を素人にも
分かるものに変えないといけない」を柱として打ち出している。
・どの人も、命に関しては、医者や薬など、非常に注意を払う。
命の次に金が大切とすると、せめて「命」の10分の1くらいの注意を向ける
べきではないだろうか。
すなわち資金運用についても情報を積極的に活用すべき。
<吉田>
・今の企業は含み計をしているから償却できない。
これがなければバブルは防げた。
・システムを変える為の議論の場を作らないといけない。
システムを変える時にはいくら金を使っても無駄である。
次週で完結です。
さて、この種の議論に正解はありません。
様々な角度の視点とトピックが錯綜しているので、それを自分なりに
再構成することが必要となります。
みなさんなりの見方で読んで頂きたいと思います。
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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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2 編集後記
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最近様々な金融機関が提携や合併を発表し、あの日産自動車が経営不振を
認める形で外資系自動車メーカーとの提携を模索しています。
まさに激変している世の中、経済学とは必ずしも関係ないかもしれませんが、
経済や経済学を学ぶには事欠かない時代といえるかもしれません。
学ぶ身としては、文句なくチャンスの時代でしょう。
実際その混沌の中に身をおく方にとっては、抜け出せれば大きなチャンスが
訪れるでしょう。そのためには裏付けのある緻密な計画と、
一歩踏み出す思い切りが両方必要となるはずです。
様々な経済行動の裏にある理論をしっかりと呈示できれば、
上記のどちらの方にも役立つマガジンになるのでは、と思っています。
ではまた来週。
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○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」1999/1/24
発行部数:2594部
発行者 :片山 健太郎
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