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!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
1999/1/17号
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みなさん、片山です。
お久しぶりです。初めての方は、初めまして。
あれなんだったっけ、という方、経済のメールマガジンです。
この度は大幅に遅れました。ごめんなさい。
予想されてる方も多いかとは思いますが、その大方の予想通り
卒論がその原因です。
ようやく完成しました。いやあ長かった。
その内容はまあまあマニアックなのでここでは省略しますが、
住専問題です。興味のある方は資料を送ります。
さて、随分間があいてしまいましたが、先日宣伝したフォーラムは
大成功に終わりました。またこのマガジンを読んでの来場された方もいた、
という話しも聞いていて、非常に嬉しく思います。
ありがとうございました。
そこで、会の目玉でもあった先生方のパネルディスカッションの内容を
これから何回かに分けて掲載します。
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■目次
1 経済危機克服の戦略1−フォーラム・パネルディスカッションより
2 編集後記
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1 経済危機克服の戦略1−フォーラム・パネルディスカッションより
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まず、パネルの参加者は以下の通りである。
パネリスト: 京都大学 経済学部 吉田和男教授
東京大学 経済学部 伊藤元重教授
大阪大学 経済学部 跡田直澄教授
横浜市立大学商学部 藤野次雄教授
慶應大学 経済学部 塩沢修平教授
モデレーター:慶應大学総合政策学部 竹中平蔵教授
モデレーターの司会で、各パネリストが順々に話していくスタイルをとった。
そこで、以下では、質問とその答えの要旨をまとめてみることにする。
<質問:現在の日本における「危機」とは一体なにか?>
塩沢:
・危機と言い過ぎであり、それが逆に危機なのでは。
・その克服の為には、GDPの6割を占める個人消費の回復がポイントであり、
それをこれからどう復活させるかが問題。
・買いたいものを買いたい価格で提供できれば、消費は伸びるのでは。
藤野:
・バブル後の調整と構造調整をどうやって同時に進めるかが問題。
バブル後の調整とは、景気対策であり、構造調整とは、例えば社会保障の負担
率の上昇と国債のための将来の増税予想などで財政の方針に対する不安が募り、
不確実性で消費が落ち込む事態をどう改善するか、などである。
その整合性をつける必要がある。それが今はついてないのが危機の1つ。
・メインバンク・終身雇用などの制度・規制・慣行を、この10年間のグロー
バル化で変化して大きくなったフレームワークの中で合理化するかがポイント。
このフレームワークの中では、慣行などは説得的ではない。
これをどう調整するか、という試行錯誤の危機である。
跡田:
・何をしたらよいかが分からない不安感が危機である。
・今はバブルの失敗など何かにつけ悲観論が支配している。
・何が間違っていたのかの整理が必要。
・政策決定のバワーバランスが変化している中で、指導層の自信回復が必要。
元重:
・アン・クルーガー(有名な経済学者で元世銀副総裁)は講演の中で
「21世紀中頃の歴史家が20世紀後半を記述する時は、『世界の多くの国が
これだけの高い経済成長を維持した時期は他にない』というのを抜かさないで
あろう。」と言ったが、確かに20世紀後半は高度成長の時代であり、
例えば日本のGDPは 1950 世界GDPの2%未満
バブル期 20%近くまで
となり、日本は「奇跡の国」といわれた。
その際に出来た仕組みがメインバンク制であり、奇跡と共にしか維持できない
仕組みなのである。今は少なくとも奇跡の成長期ではないという事を認識して
システムを変換しないといけない、という意味での危機である。
・大きな転換は難しい。タイタニック号も転換は簡単ではなかった。
・東南アジア・中国・ロシア・ラテンアメリカという80年代にエマージング
マーケットといわれた地域は、当時急激に成長し、今は危機に陥っている。
成長を支えたのは、先進国の投資と国際貿易の拡大であった。
急に走り出した経済は市場主義に対応できないのである。企業会計や税制の
あいまいさなど制度面の整備が出来ていない、という矛盾があり、それが
露呈した形である。
・21世紀に市場の力を抑えてもとに戻るのは無理ではないだろうか。
よく資金の流れは自動車や航空機みたいだと言われる。
徒歩と自転車だけだと事故はない。しかし自動車や飛行機が開発されると、
みんな乗るようになる。便利だが、当然これまでにない危険も増し、
事故も増える。それでもみんな乗るのである。
ではどうするか。
それを安全に使いこなす為の努力、資金で言えば、どう取り込んでいくか、
がポイントになってくる。
吉田:
・現在は複雑な仕組みが相互に影響を与えている時代である。
複雑系の考え方が重要であるが、ただし複雑系では原因と結果は分からない。
また仕組みが うまくいってる時は安定していて
うまくいってない時は不安定になる。
・アジアの奇跡においても、リスク評価の数値化などの技術が、システムを安定
させると予想されていた。
タイでは、経常収支の赤字が続いていたが、それを短期資本でカバーしていた。
結果として貯蓄と、流出の額が同じでバランスが取れていなかった。
デリバティブなどの金融技術でそれが安定的になると予想していたのである。
結果として崩壊してしまった。
もちろん資本流入がなければ成長もなかったのだが。
・現在の貸し渋りは、早期是正措置に対応したものとなっている。
結果として「リスクアセットを減らす」となっている。
だがそれだけが原因ではない。
今は担保主義であるが、1昔前は違った。
「担保の回収率は低いので、それで回収できるとは考えていない。せいぜい
掛け目率は6割くらい」として昭和50年代は担保など信じていなかった。
ところが現代は担保に頼っているので、それがなくなるとどうしていいか
分からない。すなわち「あほ」になっているのである。
それが今の危機である。
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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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2 編集後記
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どうでしたでしょうか。
長いので、3回くらいに分けようかと思っています。
さて、寄せて頂いてる、みなさんの質問に答えるといいつつ、
果たしていません。申し訳ありません。
次号では、と思っていますのでお待ち下さい。
ここで今後の展望についてまとめますと、扱いたいトピックとして
・フォーラムまとめ
・Q&A
・規制緩和
・日債銀を含めた破綻処理
・ヘッジファンド
・日本のマーケット構造(リース業などについても触れたい)
・円の国際化
・基礎理論コーナー
(異時点間消費の次はマクロの財政・金融政策について、最近の議論も含めて
まとめたいと考えています)
という感じです。
流動的ですが、上のトピックについては必ず近いうちにまとめたいと
思っています。
こんなテーマも、という要望がありましたら送って下さい。
早くも新年があけて、年賀状くじの抽選でしたね。
僕は切手シートが3枚あたりました。みなさんはどうでしたか?
ではまた来週。
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○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」1999/1/17
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