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!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
2001/10/22号
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みなさん、こんにちは片山です。
久しぶりに発行しますが、経済関連のメルマガです。
登録していただいてから、まだ1度も配信がないという方、はじめまして。
4月以来の発行です。早く発行しなきゃと思いながら今に至り、恥ずかしいやら、情けないやらの気持ちがありますが、やはりメルマガを続けようと思い、発行しました。週刊予定なのですが、この体たらくからもご推察できると思いますが、なんとも言えません。なので、今後はマーケットの動きに対するちょっとしたコメントでもいいので、
継続することに重点をおこうと思います。
これからも何卒よろしくお願いします。
■目次
1 構造改革について
2 編集後記
1 構造改革について
先週金曜日(10月19日)に、与党の政策懇談会、経済財政諮問会議で、財務省が提出した補正予算が了承されました。国債発行30兆円の枠を守るかどうか、が大きな焦点になっていましたが、30兆円の枠を守った予算案になりました。
これは小泉さんの提唱する構造改革の中の、財政構造改革の一環ですが、そもそも構造改革とは一体何なのでしょうか。
小泉さんの提唱する構造改革は3つに分かれます。「骨太の方針」や所信表明演説にもありますが、1つは不良債権処理、2つめは規制緩和などによる新規産業の創出、3つめは財政構造改革です。これらにより、経済・財政の構造を変革し、中長期的な成長力を身につけて、日本経済の再生を図る、というのが目的です。
ここで不安になるのは「中長期的にはいいかもしれないけど、この不況の中でやっていいの?」という点です。中長期ではプラスの一方、短期的にはマイナスの面も出てくるからです。それぞれまとめると、
【マイナスの面】
・不良債権処理によって、倒産するところが増え、失業も増える。
・このデフレ下だと、不良債権処理により、一層デフレになる。
・財政構造改革で財政支出が減り、財政による景気の下支えが弱まる。
もう少し財政で下支えをして、景気がよくなってから構造改革してもいい。
【プラスの面】
・社会全体が変化し、競争的で活発な経済社会になる。
・規制緩和で、新しい産業が創出され、雇用も増える。
・不良債権処理で、企業のバランスシートがよくなり、投資が増える。
・財政構造改革で、財政が健全化し、金利も安定する。
・中長期的な潜在成長力が高まり、日本経済が持続的成長パスにのる。
などです。僕は構造改革推進派ですが、マイナスの面に対してコメントすると
・不良債権処理による失業増
→小泉内閣は、短期的な失業をカバーするため、雇用のセーフティーネットを同時に政策に盛り込んでおり、さらに中長期の方にある雇用創出で対応
・デフレの深刻化
→柔軟な金融政策で対応する一方、デフレは将来の期待にも左右されるので、中長期の経済成長の期待を形成することが解決策になるのでは
・財政の下支えが必要
→これ以上の財政支出は、需要創出効果はあるものの乗数効果は落ちており、長期金利上昇のリスクを考えると、相対的に経済にとって望ましくない
現在のところ、小泉さんのリーダーシップで推進されていますが、今後、実際に自分の周りで、失業など構造改革の痛みが出てきた場合、「将来よくなると言うけど、今は痛いし、本当に将来よくなるのか」と不安になります。一般に人間は近視眼的なので、「今の痛み」の方が大きく感じ、結果構造改革に反対することもあります。そこが辛抱のしどころなのです。
最大のボトルネックになっているのは、構造改革が終わった後の日本が見えにくいことだと思います。単に「もう少し待ってて」では、期待が持てません。きちんとしたシナリオでもって、今後の日本の姿を描くべきです。
一般的なマクロモデルによる試算では、構造改革は、供給面の生産性上昇に取り入れられるだけです。ただ小泉さんの目的と手法を実践した場合、規制緩和により労働力が増加したり(一時的には失業率が上がるかもしれないので、相殺?)、新規産業創出によって民間投資が増加するなどの効果もあります。それらを考慮した試算も必要でしょう。
また上述のように、構造改革には短期的にはマイナスの面もありますが、長期的にはプラスの面もあります。留意しないといけないのは、長期的なプラスの面は、スタートが遅くなればなるほど、効果が小さくなることです(例えば、財政構造改革は、スタートが2年遅れると、同じ水準を達成するのが5年遅れるといいます。その分利払い費も増加します)。これも示すべきです。
そこは政府の責任もあり、構造改革が終わったら日本がどうなる、ということを抽象的に表現するのではなく、それぞれの改革がどのような効果を持つか、明示することも重要です。いまだ小泉さんの支持率は高く、それは構造改革に対する国民の期待もあるでしょう。改革成功のためにも、政策の中身だけではなく、実施プロセスも戦略的に構築するべきでしょう。
ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- info@kriep.com
2 編集後記
久々に書くマガジンで何を書こうか迷いましたが、無難に(?)構造改革について触れてみました。文章もこなれてないでしょうし、内容のレベルも期待とは違うかもしれませんが、これから徐々にレベルアップしていきたいと思ってますので、気長にお付き合いください。
次は国債発行30兆円について整理する予定です。
では。
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○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」2001/10/22
発行部数:5967 部
発行者 :片山 健太郎/片山経済政策研究所 代表
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