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 Economics Today
 2000/8/6号
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  みなさん、こんにちは片山です。暑いですね。今週は長崎・佐世保に行っていました。ここはよいとこで、
 とにかくお刺身がおいしかったです。堪能してきました。
  さて、今週はそごう問題を取り上げます。なぜ民間企業に公的資金を投入するというプランにいたったか、ということです。
 (実際には投入されていませんが)
  # 銀行との違いには触れませんでしたが、銀行に公的資金を注入する根拠に# ついては、こちら↓
 # http://www.kriep.com/mag/981221.html
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■目次
 1 そごう問題の分析(初中級)
 2 編集後記
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 1 そごう問題の分析(初中級)
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  なんで銀行や、あるいは実際にはやめましたが民間企業である「そごう」に国のお金(税金)を投入するのか、ということです。その根底にある行動原理
 は「動学的に考えて、マイナスの被害を最小に食い止める」ことであり、これ
 が政府の政策目標になっているからです。
  基本的に経営がうまくいかなくて、赤字になったり債務超過になった場合、その企業は倒産してつぶれなくてはいけません。しかし、大企業になると、
 つぶすことで、その会社がつぶれるだけでなく、負の波及効果も生じます。
  今回のそごうを例にとって考えれば、倒産すると、・雇用されていた従業員が失業者となり、社会不安が増大
 ・取引して仕入れていた中間業者が在庫を抱え、つぶれる
 ・流通チャネルを提供していた運送業者の仕事がなくなり、つぶれる
 ・そごうに多額の融資をしていた銀行・ノンバンクがその焦げ付きで財務
 状況が悪化し、システミックリスクを引き起こす
 →ジャパンプレミアム発生?
 などです。これらはシリアスな問題で、最終的にはマクロ経済全体にも多少の
 ショックがあるとも言われました。そうすると、ひいては我々の生活にも影響
 する可能性もあります。
  なので「そごうを潰して、切り売りして、はいお終い」では、問題があり、政府としても何らかの再建策を講じる必要があったわけです。
 もう少し説明すると、完全に潰す事で将来日本経済全体で10の損失が生じる
 場合と、今政府資金5を投入することで、現在なんとか持ちこたえ、将来
 損失は0の場合だと、トータルでは前者は10の損失、後者は5の損失で
 すみます。こうしたことが公的資金注入の根拠だったわけですが、そこで、
 今回はおおまかに言って、3種類の対策が考えられました。
  1 つぶす事の悪影響が大きいので、公的資金を注入して、再建する。2 貸し手責任という事で、融資していた銀行が借金を棒引きする形で
 そごうの債務を減らし、再建する(債権放棄)
 3 明らかに債務超過なので、倒産させ、不良債権を処理し、土地など動産を
 売却・整理して、その上で再建の道を模索する
  最初は1で政府が助けるといい、世論の反発があったので、次に2でお金を貸していた銀行が責任を取り、60億円貸していたら、そのうち20億円をチャラに
 してあげる、といった形になりそうでした。ところが、それも反発が大きく、
 最終的に3で、形として倒産しました。上では1の場合の数値例をあげましたが、
 その算定は不確実な部分も大きいので、同意にはいたりませんでした。
  重要なのは、倒産した後です。日債銀や長銀などもほぼ倒産に近い形で、新たな会社になりましたが、倒産して0になるわけではありません。倒産しても、その
 店舗や人材は残っているわけですから、それらを活かして、少しでも利益を上げて
 債務を返済できる可能性があるわけです。そこで西武百貨店の会長さんなどが
 新しい経営者として就任し、立てなおしのプランを講じているわけです。
 そごうも再建プランを進め、出きるだけ倒産の負債を減らす事が望まれます。
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 2 編集後記
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  うなぎはやはり体にいいそうです。夏バテのみなさんはどうぞ。そういえば、僕は夏風邪です。クーラー病かもしれません。
 鼻水君です。みなさんも気をつけてください。
  ではまた。  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■文中のコメントは筆者のオリジナルな見解であり、一切の権利は筆者に帰属
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