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!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
2000/6/18号
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みなさん、こんにちは片山です。暑い毎日が続きますね。
先日サッカーをしましたが、暑さもあってすぐばてました。
体力をつけないとだめですね。(笑)
さて、発行が間があいてしまいましたが、最近は色々な経済の動きがあって
注目する事は多いです。今回は、前半で長期金利の基本的な解説、後半で
アメリカの金利について分析します。前半は基本的で定義ぽい事なので、
カチッと学びたい初心者の方だけでよいと思います。では。
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■目次
1 長期金利の分析
2 アメリカ長期金利の動向
3 編集後記
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1 長期金利の分析
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最近新聞なんかでも「長期金利」の話題がよく出ますが、今日は基本的な
解説をします。まずは長期金利の簡単なおさらいをした後、後半はアメリカに
ついての分析です。
【長期金利とは】
長期金利は、金利の指標としては非常によく気にされる指標です。米では、
代表的な指標として「十年国債利回り」をさします。
これは国債マーケットで決定されます。その変動は、政策金利である公定歩合
なども影響は与えますが(後で説明)、基本的には国債市場での取引などが
影響します。(正確な決定式はバックナンバーを参照してください。)
【長期金利が上昇する理由】
・FRBや日銀などが、政策金利である公定歩合を実際に引き上げる
・景気が過熱気味→市場が「それを引き締める(公定歩合を上げる)」と
金融政策の見通しを予想し、それを反映する
・国債多発による需給悪化懸念(国債価格低下、金利上昇)
【長期金利が上昇したことの影響】
・加熱した景気を引き締める(通貨供給が減る→株が下落)
・投資(設備投資・住宅投資)に悪影響を与える。(一般に「投資」は利子率の
減少関数と考えられています。ただしポイントは、実質利子率の減少関数
だという事です。金利が上がっても、同じ位物価が上がっているなら実質
金利は上昇していない事になります。)
・通貨が増価する(円高になったり、あるいはドル高になる)
→自国の輸出が減り、輸入が増え、経常収支が赤字傾向に
【長期金利が低下する理由】(上昇する理由の逆ですが)
・FRBや日銀などが、政策金利である公定歩合を実際に引き下げる
・景気の過熱感が後退→市場の中に「FRBが利上げする」という観測が薄れる
・景気が後退局面→市場が「FRBが利下げするだろう」と予想して、おりこむ
・国債発行額が減少して、国債価格が上昇→金利減少
【長期金利が低下することの影響】
・投資(設備投資・住宅投資)が増加
・株式市場・投資信託の活性化
・通貨の減価→経常収支黒字傾向
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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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2 アメリカ長期金利の動向
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【金利の変動】
アメリカの長期金利は、6月17日現在、5.96%です。トレンドとしては5月半ば
くらいから一貫して低下しています。(日本は2%弱くらいで、弱含みです)
ご存知のように、アメリカは9年にもわたる好景気で、最近は各指標に景気
過熱感が感じられるほどでした。そこでFRBは引き締めるために、数回にわたる
公定歩合引き上げを実施して、それを受けて長期金利は上昇を続けました。
そして金利は6%を超えるまでになったわけです。(日本は2%をきってますから、
差がすごくあります)
それがここ1ヶ月くらい(5月半ば以降)住宅着工数や消費などの経済指標が
低調になってきて、過熱感も薄れてきたので、金利も低下傾向になったのです。
(上の解説参照)
まとめると、
「景気が過熱→金利上昇傾向→景気過熱が一段落→金利下落傾向」
となります。今後も好景気が一段楽して、この傾向が続くでしょう。
【意志決定について】
アメリカは、グリーンスパンFRB議長が中心になって、政策金利の上げ下げを
決定しています。今までの所、そのコントロールが適切である、とマーケット
から多大な信認をえています。(史上最高の議長との評価もあり)
今アメリカは「ソフトランディングorハードランディング」の議論があります。
これは、過熱した景気が、一気に調整される(時にはオーバーシューティング)
のがハードランディング、段階的に調整されるのがソフトランディングです。
これは今後のアメリカ経済のシナリオとして重要ですが、政策金利の決定が
1つの鍵になります。
○柔軟・適切な引き下げ→ソフトランディング
○硬直的な引き下げ→ハードランディング
当然ソフトランディングが望ましいシナリオで、そのためには経済情勢や市場の
反応などを敏感に汲み取った判断が必要になります。
ただ現状のようにグリーンスパンさんに大きく依存する体制は危険といえます。
適切な政策の実施のためには、多角的な視野による判断が不可欠で、何より、
その決定がマーケットの信認をえていることが重要です。
現在のように、マーケットが特定の個人の言動に過度に依存していると、実体
経済と乖離していても、その判断を信用するため、後にロスを生じる反応を
してしまう可能性があるからです。
そこで現状の「個人依存の仕組み」から「多角的で、それが市場に信認される
意志決定の仕組み」を作るのが重要でしょう。
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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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3 編集後記
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お疲れ様でした。
たまに「記事内容は実際どうやって書いているか」という質問がよせられる
ことがあります。誰かの文章をそのまま載せる(=引用する)場合は、必ず
明記しています。それ以外は僕が実際パソコンに向かって考えています。
もちろん、そのbackgroundには、どこかで読んだ新聞・本・教科書や様々な
講義・発表などがあると思います。その意味では、正確にはそれらが引用元
ですが、一旦僕の頭の中を通っていること、いちいち思い出せない事がおおい
などもあり、オリジナルとしています。(記事を書く際にも、あまり本などは
読み直さない事もあります)
論文などを書く際は、引用が厳しくチェックされますが、上の事情もあり
このメールマガジンでは、そのまま引用する以外は引用とはしていません。
ただ「その分野で何が基本書なのか」とか「この記事をより理解するには
何を読んだらよいか」などの質問にはお答えしますので、お気軽に。
ではまた。
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■文中のコメントは筆者のオリジナルな見解であり、一切の権利は筆者に帰属
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○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」2000/6/18
発行部数:5420部
発行者 :片山 健太郎
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