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!!使える!!経済の基礎知識から応用まで
Economics Today
2000/3/30号
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みなさん、こんにちは片山です。
今日も財政赤字解消のアイディアで行きたいと思います。
感想として、本質的にはほぼ同意かもしれませんが、不況打開・景気回復の
アイディアとしても通用しそうな内容が多いですよね。(特に今回の投稿は、
財政赤字解消というよりは、政策へのsuggestionという感じです。でも面白い)
今までのように、読者の方の意見を片山が一部修正・編集して、さらに
ポイントにコメントを付しています。
また今回は若干理論的になりますので、興味がない方もいらっしゃるかも
しれません。飛ばして頂いても、もちろん結構です。ただ、こうした議論が、
草の根であってもこうしたマガジンでできるのは、とても健全だと思っています。
では。
#今書き終わりましたが、今日は結構難しいかもしれません・・。
期待しているレベルと違う読者の方には申し訳ありません。
次回は、簡単な内容にしたいと思います。
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■目次
1 財政赤字解消の政策アイディア4(上級)
2 編集後記
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1 財政赤字解消の政策アイディア4
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<松岡様より>
結論:金融機関の健全化・効率化が重要
日本の最大の問題点は結局のところ”金が効率よく回っていない”ことに
尽きるのではないでしょうか。その効率性の低下を「貨幣の流通速度
の低下」として考えれば、やはり金融機関の効率化が不可欠だと考えます。
経済においての主人公はやはり私たち一人一人であり、私たちのお金の回し方
に焦点を当てる立場を強調すべきだと、考えています。
今の変化の早い世の中で、お金をすばやく他の手から他の手に回しやすい環境が
なければ、SupplyとDemandのGapが生じるのは当然ではないでしょうか。
それを担っているのは銀行でしょうし、それ以外にも環境作りが必要でしょう。
(例) 新興企業でも上場できる株式市場
家からでもすぐにほしいものが買えるOn−line など
その意味では、財政支出は効果はないと考えます。
<流れ−片山が相当編集>
お金の循環がよくなる
→必要なところへ、使われてないお金がまわるようになる
→・銀行が、誰も見向きもしなかった需要を発掘している状態
・それだけ急激に新しいものを創造することにつながっている状態
→同時に、大きな利鞘を生み出す融資が成立しているはず
<コメント>
●理論的背景●
この考え方は、松岡様も付記されていましたが、古典派の貨幣数量説に
基づくものです。最初にそれを簡単に説明して、現実への対応を考えます。
この説の基本となる方程式は「MV=PY」です。
(M:貨幣量、V:貨幣の流通速度、P:物価、Y:所得)
そして松岡様の主張は「Vを上昇させれば、Yが上昇するはず」というものでした。
ただ、もともとVというのは、V=PY/Mと定義されています。
(PY:名目GNP、M:マネーサプライ)この定義から上の方程式を導出して
いるわけですので、「V↑」は、もともとの定義に従えば、「PorY↑」か、
「M↓」につながる事になります。
すなわち、物価(GNPデフレーター)、実質GNPを上昇させるか、あるいは
マネーサプライを減少させる可能性があるわけです。なので松岡様の議論は
若干ゆるいことになります。
#ちなみに、この方程式を主張した古典派の人たちは「V,Yは一定」と仮定して、
#MとPの比例関係を主張したのでした。これは、古典派は完全雇用を前提と
#しているので産出量(Y)は常に一定となり、財市場(常に一定)と貨幣市場
#(Mの動き)はお互い影響を与えない、と考えるからです。そして、そもそも
#Yは一定なので、Vをいじって変化させようとする事自体意味がありません。
#(貨幣はベールのような働きしかせず中立性を満たす=Yには影響しない
# =古典派の二分法=貨幣ベール観)
#
#また、ケインズは、Mの変化はr(利子率)に影響を与える事で、財市場
#にも影響を与える事を主張して、批判しました。確かに完全雇用を前提をして
#産出量を考えるのは、ちょっと非現実的ではありますね・・。
●現実経済への示唆●
先述の式を現在の日本経済に厳密にあてはめるのは、相当無理がありますが、
そもそも完全な理論などない以上、適当な仮定をおいて、制約付きのモデルから
出てくる結論を、1つの考え方として主張するのは、まさに経済学の意味です。
その意味で、金融機関の効率化を「V↑」という観点から主張するのも面白い
でしょう。そして先ほどの式でも、「V↑」を「P↑、M↓」をともなわない形で
実現できれば、「Y↑」の可能性もあります。(物価やマネーサプライは、
日銀の政策目標でもありますので、そのコントロールは不可能ではありません)
ただ、上にも書きましたが、そもそもこのモデル自体が「完全雇用」「財市場と
貨幣市場(利子率とマネーサプライ)が無相関」を前提にしていますので、相当
つらいのも事実ですね・・。(=この2つはほとんどありえません)
また「財政支出が効果ない」というのも、これらの前提のもとでしょうが、
これらは、現実的にはほとんどsupportされないと思います。
いずれにせよ、企業収益向上による税収増のためにも、銀行の効率性上昇は
欠かせません。統合などで土台を作り、あとはその中身を変容させる事です。
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ご意見・質問などは気軽にこのアドレスに---- katayama@netjoy.ne.jp
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2 編集後記
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お疲れ様です。
コメント部分は、結構難しかったのではないでしょうか?
ちょっと数式遊びみたいになりましたが、このレベルをすらすら分かれば、
そこら辺の経済学部の学生よりは、経済学を知っていると思います。(笑)
難しかった所など、ご質問頂ければ、時間の許す限り解説します。
では。
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