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 Economics Today
 2000/3/8号
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  みなさん、こんにちは片山です。相当間があいてしまいましたが、みなさんお元気でしょうか。
 東京では寒さも一段落した感じですが、風邪は相変わらず猛威のようです。
  アメリカの大統領選挙が近いですが、最近のアメリカの好況について考えると財政赤字の解消が大きな要因になっていると思います。
 逆に日本は、財政赤字の累積で目も当てられない状況です。
  そこで今日は財政赤字解消について、特にアメリカに焦点をあてて、理論的にまとめてみます。日本のケースにも適用して分析します。
  では。  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■目次
 1 財政赤字解消の分析
 2 編集後記
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 1 財政赤字解消の分析
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  アメリカの大統領選挙も近づき、大騒ぎになっています。  ちなみに以前、政治的景気循環論の話を書きましたが、まさに今年大統領選挙があり、それに向けてかどうかは正確には分かりませんが、2500億円の
 減税が発表されました。
 また日本も今年の総選挙に向けてか、大規模な公共投資が今年の予算として
 発表されたところで、その理論は、相当程度説得的なようです。
  以下では、まずアメリカが財政赤字を解消したプロセス、政策手段などについてまとめます。
  ●財政赤字解消へのプロセス●  アメリカは、単純にはいえませんが、以下のようなプロセスをたどりました。  「不況→政府支出増(=減税)→景気回復→企業業績アップ→税収アップ→財政赤字解消」
 (この減税する事でむしろ税収が伸びる関係をラッファーカーブといいます)
  1985年頃のアメリカは、経常収支と財政赤字という、いわゆる「双子の赤字」を抱えていたわけですが、大規模の減税などのサプライサイド政策を実施し、
 以後景気が回復して、ニューエコノミーの台頭もありましたが、企業業績がのび、
 単年度黒字にまでなりました。
  今のアメリカの景気の持続的成長は、戦後最長になっていますが、上のroutineが多少形を変えて適用された事も一因だと思います。
 ●財政赤字解消の政策手段●
  財政赤字の解消に向けての政策上の手段は、理論上は2つあります。沢山もらうか、払うのを減らすか、つまり「増税」と「財政支出の削減」です。
 ただAlicinaの研究によれば、財政赤字の解消に成功した国は全て「財政支出の削減」
 によるものと考えられています。
  アメリカは1980年代後半の冷戦の終了で、軍事費の必要がなくなったわけです。そこで「大幅な軍事費の削減→財政支出の削減」となったわけです。
 ●構造改革について●
  同時にアメリカは構造改革にも成功して、それが企業業績アップにつながったわけですが、その要因をあげますと、
   ○上にも書きましたが、レーガノミクスにより積極的な財政政策と規制緩和を推進したこと。
 ○米国企業が経営改革(リストラ)を行ない競争力や収益力の向上に努めた事
 ○ボルカー前FRB議長が適切なマネーサプライコントロールを行ない、
 インフレ退治に成功したこと。(インフレなき成長へ)
 ○プラザ合意によって異常なドル高を是正したこと。(経常収支黒字体質へ)
  などでしょうか。  もちろん90年代に入っても企業のリストラは続けられ、不良債権問題も適切に処理されましたが、基本的には80年代における上記のような政策の効果が
 90年代になって花開いたと考えるべきでしょう。
 ●日本へのimplication
  知り合いの財政学者(の卵)と議論していた時、彼がふっともらしたのですが現在の赤字規模は「あと3回くらいバブルが起きないとだめな規模」だそうです。
 その意味では、直接的な赤字解消方法はないのでしょう。
  ただ、上記のまとめからのimplicationとしては、     ○景気が良くなり企業収益が増加したら、税収は増加する○増税は赤字解消につながらず、支出削減のみがとりうる政策手段
 ○企業の構造改革は、企業収益を強化する
  があります。今の日本は1番上の視点を重視して財政拡大をしていますが、2番目の視点も
 忘れてはいけないでしょう。
 現在は政府が企業の下支えをしているニュアンスがありますが、それはずっと
 続けるわけにはいきません。そこで企業の努力が必要になりますが、それを
 喚起する政策を、財政支出を伴わない形で提供できればベストでしょう。
  また最近、リストラなどで相当企業努力しているセクターもありますがまだ遅々として進んでいないセクターもあります。
 その評価は株価などでも顕著になっていますが、そういった「変えるのが
 難しい」セクターについては何らかのショックセラピーも必要かもしれません。
  こうした企業へのアプローチがゆくゆくは景気上昇へつながり、わずかではありますが、徐々に赤字解消へつながると考えられます。
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 2 編集後記
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  お疲れ様でした。しかし日本の財政赤字もすごい額ですからねー。
  この前国会中継で、鳩山さんと小渕さんの「日本の将来を語るコーナー」みたいな質疑ところで、小渕さんが「鳩山さんがかねてからおっしゃっている
 財政赤字解消の具体的な手立てを伺いたい」といってるのに、鳩山さんは
 ずーとドコモ株疑惑の事を聞いてました。時間の無駄遣いですね。
 全く本質的でないと思いました。
  僕も鳩山さんの手立てを聞いてみたかったのですが、残念です(笑)。実は内容がないので避けてたりして・・。
 失礼しました。それくらい先行き不安だということです。
 (鳩山さんは「議論したいが、信認のない人と議論できないので、その疑惑を
 はらすのが先」と主張しておられました)
  もし読者の方で、財政赤字解消に向けて、これでどうだ、という政策アイディアをお持ちの方がいらしたら、是非メールでお寄せ下さい。
 キチンとした文章でなくも、箇条書きでも結構です。掲載致します。
 (えてして箇条書きの方が、まとまっていて本質的ですが)
  ではまた。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 ○メールマガジン「!!使える!!経済の基礎知識から応用まで」2000/3/8
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 発行者 :片山 健太郎
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