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ECONOMICS

 

【基礎理論】 ミクロ経済学2−異時点間消費(98.12.21)

 

今回は国際貿易の分野にもちょっと入りますが先週の所得効果と代替効果の概
念を使ってより応用の分野を解説したいと思います。

まず現在(1期)と将来(2期)という2期間からなるモデルを考えます。それぞれの期で所得と消費があり、1期でお金を貯金すると、それに利子率がついた分だけ2期の消費に回せます。2期以降がないため、2期で全てを消費してしまいます。今回は簡単な数式を使います。1期の消費をC1、所得をY1、2期の消費をC2、所得をY2、利子率をrとします。所得Y1、Y2はすでに決まっているとします。(所与)

もし貯金する場合、その額はS1=Y1−C1になります。それに利子がついて将来消費するので2期の消費は

C2=Y2+(1+r)(Y1−C1)・・・・・・・・・1

となります。これを違う形で書くと、

Y1+ Y2/1+r=C1+ C2/1+r ・・・・・・・・・・・2
Y2−C2=−(1+r)(Y1-C1) ・・・・・・・・・・・3

となります。これが異時点間消費の予算制約線となります。ここでY1−C1がプラスなら、貯金していて、マイナスなら借金していることが分かるでしょう。

そしてこれを1国レベルにすると、Y1−C1やY2-C2というのは、実は経常収支にあたることになります。すなわち1期での貯金とは、海外にお金を預けるようなものですから海外債権の純増、すなわち経常黒字、そして1期での借金とは、海外からの資本などの流入ということですから、それはすなわち経常赤字ということになります。

ここでのポイントは、1期で経常収支が黒字の場合には、必ず2期では経常収支が赤字になることです。(式3を参照)同様に1期で経常赤字の場合は必ず2期で経常黒字になります。

日本は現在大幅な経常黒字国であり、アメリカは経常赤字国です。この点について、アメリカはいわゆる「貿易摩擦」という形で日本への輸出や日本からの輸入について政治的な圧力をかけてきます。基本的な考えは、「経常赤字はだめ」というものです。その元に、例えば輸入数量制限(日本の自動車の輸入は数量的に制限する)や日本への輸出の自由化(牛肉やオレンジなど)を政治的目標として推進してきました。

しかし、上の議論で言えば、そこまで経常収支の黒字や赤字は問題ではないことになります。現在の経常黒字は将来の経常赤字につながるからです。日本も今は経常黒字ですが、いずれ赤字になるかもしれません。そして、それを視野に入れた政策をしなければいけません。

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