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ECONOMICS

 

【基礎理論】 ミクロ経済学1−代替効果と所得効果(98.12.21)

 

みなさんが飲みに行くとします。いつもある予算の範囲内で、焼酎とビールを楽しんでいます。いきつけの店は、焼酎は1杯400円、生ビールは1杯500円。できるだけ酔う組み合わせで飲んでるとします。でも焼酎も好きだし、ビールも好きなのでどちらも楽しみたいとします。ある日いつもの予算を持って行ってみると、ビールが1杯600円になっていました。さて、みなさんはどうするでしょうか。

まずビールに関しては、相対的に値段が高くなったので「いいや」となるはずです。そして今までと同じだけ酔うには、ビールを減らして、その分安い焼酎の量を増やすことになります。また同時に、ビールを飲めば、(飲んだ本数)×100円だけ、相対的に自分の予算が今までに比べて減るようなものなので、例えば普段10本飲んでいたら、1000円分は予算が減ることになります。そして、その減少分の中のいくらかはビールの分になるので、さらにビールの本数は減ると考えられます。

一方焼酎はどうでしょうか。
ビールが高くなったので、相対的に安くなった焼酎の需要は増えます。上に書いてあるとおり、同じだけ酔うには焼酎を増やすことになるわけです。しかしながら、ビールの価格上昇のせいで予算自体が目減りしているので(上述)、その意味では実質的に使えるお金が減って焼酎の本数も減るはずです。結果として、焼酎の本数が増えるかどうかは分かりません。

<用語解説>
需要: 経済学では何かを消費する時、その量を「需要」という。これは消費者サイドからの量であり、生産者サイドから考えた量は「供給」という。
財: 目にみえるもののこと。これを手に入れるためにその価値に等しいお金を支払うことになる。サービスは財には含まない。(特に「サービス財」という)2財モデルとは、2つの財を考えたモデルということです。

このような2財モデルにおいて、ある財の価格の上昇よる需要の変化を分析すると、上に書いたように、まず価格体系の変化によって財の需要が変化します。これを「代替効果」とよびます。(この場合では、「ビールが高くなったから、やめてその分焼酎買おう」という効果)次に起こる、実質所得の低下による財需要の変化を「所得効果」とよびます。(「ビールの値段が上がったから、予算自体も目減りするから焼酎もどうしようかな」という効果)

まとめると、ビールの価格上昇によって

代替効果
所得効果
全部効果(結果)
ビールの需要
焼酎の需要

となるわけです。
この「代替効果」と「所得効果」の概念を使うと、色々なことが分析できます。

例えば、石油ショックの際の企業行動を考えましょう。もちろん、かなりの仮定と簡単化が前提になりますが、その企業は石油を使った財と、使わない財を一定の予算内で生産しているとします。そして、石油ショックで、石油の価格が急騰した場合を考えます。

上での議論を適用してみます。すると石油を使った財がビールにあたり、生産量は減少することになります。一方で石油を使っていない財は焼酎にあたり、表の「?」からも分かるように、単純に生産を増やすとは言えないわけです。

次にこれはまず皆さんに考えて頂きたいですが、米のケースを想定します。米の価格が上昇すると、我々普通の消費者の「代替効果」「所得効果」による米需要の変化はどうなるでしょうか。また、米の農家の「代替効果」「所得効果」による変化はどうなるでしょうか。

正解を考えてみましょう。
まず米の価格が上昇したことで比べるのは、それ以外の穀物ということになります。(小麦とか大豆とか>パンやおそばをつくる)消費者は「代替効果」「所得効果」ともに米に関してはマイナスになります。これはいいと思います。

米農家に関してはどうでしょうか。実は、これは今までとは異なります。
代替効果は、相対的に高くなるわけですから、確実に米の需要が減ります。一方の所得効果に関しては注意が必要です。米農家は米を生産して販売しているので、米の価格が上昇すると、その分所得が増加することになります。すなわち実質所得が増加するので、米の需要がふえ、所得効果はプラスになります。よって、全体としてどうなるかは定まりません。

このように自分がその財をマーケットに供給する立場にある時、その財価格が上昇すると、需要が増加する可能性があります。

以上で議論してきた「代替効果」「所得効果」は、価格変化を考える時には、欠かせない概念になっています。これを応用すると様々な話しが出来ますのでそれは別のレポートにしたいと思います。

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