レオンチェフ・パラドックス(00.7.30)
【レオンチェフ・パラドックスとは】
貿易論でオーソドックスな定理にヘクシャーオリ−ンの定理があります。それは「各国は、資本と労働という2つの要素のうち、相対的に沢山持ってる要素を集約的に使う財に比較優位があって、その財を沢山生産する」というものです。資本を集約的に使う財とは工業製品、労働を集約的に使う財は農業製品です。
つまり、資本が相対的に沢山ある国は、工業製品を沢山生産して、それを輸出して、逆に農業製品を輸入しているはずなわけです。
ところが、資本が相対的に豊富であると思われるアメリカが、実は農業製品を輸出して、工業製品を輸入していたのです。これは上の理論とは逆で、それを発見したレオンチェフの名前をとって、レオンチェフパラドクスと言われます。
なぜそんなことになるのか、という事ですが、もちろん上の定理が成立するための厳密な仮定が満たされてなかったのと、あとは実はアメリカの労働者の生産性が他の国と比べて高く、アメリカは労働人口は相対的に少なくても、生産性を考えた労働力は相対的に豊富だった、と考える説です。
【ポイント】
最近はやってるIT投資は、供給サイドに影響して労働生産性を高めるインパクトを持ちます。その面からも、労働者の数だけを見るのではなく、1人当たりの生産性に着目するのは重要かもしれません。
# 中級以上の経済成長論では人的資本(労働投入を、単純な数ではなく効率
# 的な労働単位で考える)を導入しているものも多いです。